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1996年 初夏


好きな道

かつて政治は「まつりごと」であり、八百万の神々を祭ることでした。
万葉集などに登場する酒を示す古語はいろいろありますが、もっともよく使われていたのは「キ」という言葉です。
この丁寧語が「ミキ」であり、現在の神前に供えるお神酒(みき)につながっています。
それらのハレの日の飲み物として酒が使われていましたが、当初は濁り酒でした。
それが長い歴史を経て、豊潤で清らかに澄んだ酒として現在に至っています。

脈々と伝わる杜氏の心意気が造りだすこの酒は、まさに今失われつつある和の美学を後世に伝えるひとつといっても過言ではないでしょう。
豊かな日本の自然の恵みと伝統の技術とが競合し、その土地の気候、風土が育て、醸し出す酒・・・。
全国各地にそれぞれ素晴らしい銘酒があります。
微力ながら、これらのひとつでも多くの銘柄を皆様にお伝えしたいと思います。


酒の豆知識
飲んでおいしい 知るともっとおいしい



1 「大吟醸」ってなに?
最近の日本酒には、かつての一級・二級というクラス分けがなくなって、吟醸だの本醸造だのという、なにやら難しい言葉がついていますね。
酒好きの方は「さすが大吟醸だ」などと唸りながらおいしそうに飲んでいますが、中には「どこがどう違うの?」とはっきり区別がつかず、首をかしげている方も多いと思います。
そこで今回はその表示についてのお話。

平成2年4月より、清酒のうち一定の製法品質の条件を満たしているものは、特定名称の用語を表示できるようになりました。
清酒の「製法品質表示基準」というもので、細かくいいますと「特定名称酒」は原料米に農産物検査法3等以上を使用し、醸造用アルコールを添加する場合は白米の重量の10%以内である、ということが決められています。
また、「精米歩合」という規定もありますが、これは玄米に対する重量の割合。 磨いた後の白米がどれだけ残っているかを表していて、高度に磨くほど澱粉質以外のものが取り除かれ、より洗練された酒になります。
大吟醸などはこれが50%以下、おいしいところだけ取るために、お米が半分にまでなってしまいますね。
う〜ん、と唸りつつ飲みたくなるでしょう?

以下がそれぞれの特徴です。
これらを組み合わせて「純米大吟醸」などという特定名称酒の表記になるわけです。
なお、この特定名称酒以外の酒は「普通酒」ということになります。




特定名称酒

吟醸酒
良質の酒造好適米を高度に精白し、普通の発酵温度により低温でゆっくりと仕込まれる。
果実のようにフルーティな香りとすっきりした上品な風味があり、醸造用アルコールの添加は少量。
大吟醸は精米歩合50%以下で吟醸酒の中でも色・香り・味わいが特に良い。

純米酒
醸造用アルコールや糖類は一切使わず、米と米麹と水だけで造られる。
コクと酸味が強く、日本古来の製法で米の味がそのまま生きており、いかにも日本酒らしい芳醇で濃厚な味わいがある。
中でも純米大吟醸酒は最も杜氏の力量が問われる酒で「清酒の華」といわれている。 喉ごしの良い、香り高くすっきりとした飲みやすさ。

本醸造酒
醸造用アルコールの使用量を白米1トンにつき116.4リットル以下に制限されており糖類は一切使わない。
「本仕込み」または「本造り」ともいう。
「特別本醸造酒」「本醸造吟醸酒」は精米歩合60%以下、「本醸造大吟醸酒」は50%以下。
高精白米になるほど味や価格に差が生じてくる。


特定銘柄 使用原料 精米歩合
大吟醸 純米大吟醸酒 米、米麹 50%以下

大吟醸酒 米、米麹、醸造アルコール 50%以下
吟醸 純米吟醸酒 米、米麹 60%以下

吟醸酒 米、米麹、醸造アルコール 60%以下
純米 特別純米酒 米、米麹 60%以下、または製造方法

純米酒 米、米麹 70%以下
本醸造 特別本醸造酒 米、米麹、醸造アルコール 60%以下、または製造方法

本醸造酒 米、米麹、醸造アルコール 70%以下


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